CAPとはChild Assault Prevention(子どもへの暴力防止)の頭文字をとったもので、こどもたちがいじめ、痴漢、誘拐、虐待、性暴力
といったさまざまな暴力から自分を守るための人権教育プログラムです。
子どもを対象にしたプログラム(子どもワークショップ)では、就学前、小学生、中学生、障がいのある子、
児童養護施設の子どもたちにそれぞれ発達段階にふさわしい寸劇、歌、人形劇、討論などを盛り込んで、
子どもを怖がらせることなく暴力防止の具体的対処法を教えます。
従来の「〜してはいけません」式の危険防止教育とは根本的に異なり、「〜することができるよ」と身を守るための行動選択を練習します。
安心、自信、自由の人権を子どもたちに繰り返し伝えることで、全ての子どもたちが本来持っている「生きる力」を引き出すプログラムです。
学校や保育園・幼稚園をキーステーションとして、子ども・教職員・保護者に研修ワークショップを提供します。
CAPには、理念ともいうべき3つの柱があります。
第1に、「子どもの権利」で、CAPではあらゆる暴力を人権の視点から人権侵害と捉え、子どもは「安心して」「自信を持って」「自由に」
生きるという3つの権利を持っていることを伝えます。子どもたちは、「自分は大切な権利を持っているんだ」と知ることで、
暴力に立ち向かうために必要な人権意識、つまり「何としても大切な自分を守る」という意思を持つことができます。
第2に、「エンパワメント(Empowerment)」で、子どもの問題解決力への信頼と働きかけです。エンパワメントとは、
今まで力をもたされてこなかった人たちの本来持つ力を信じ、その力や個性を発揮させ、自己決定ができるよう、働きかけることです。
従来の暴力防止の方法は「〜してはいけません」という禁止あるいは行動の制限であったのに対し、CAPプログラムでは子どもをおとなが
守るべき弱い存在とは捉えず、子どもの本来持つ力を信じ、安心・自信・自由の権利が奪われそうになったときにできることを一緒に考えます。
具体的には役割劇(ロールプレイ)を通して、NO(「いや」と言う)・GO(逃げる、その場を離れる)・ TELL(誰かに話す)という
自分を守る方法を学びます。
第3に、「コミュニティー」、つまり家庭・学校・地域をつなぐことです。子どもへの暴力を防ぐには、子どもを孤立させないことが重要ですが、
そのためにはまわりのおとなが子どもの話を聴き、気持ちを受けとめ、子どもと一緒に行動の選択肢を考える必要があります。CAPプログラムでは、
子どもワークショップ実施の前におとなワークショップ(保護者ワークショップと教職員ワークショップ)を実施し、
子どもの人権尊重、暴力の基礎知識、暴力防止のためにできることなどを伝え、保護者や教職員と共通理解を図ります。
また、子どもワークショップはほぼすべての子どもが通う学校の授業時間に1クラス毎に実施すること、地域に市民事業として立ち上げた
CAPグループに所属するCAPスペシャリストが直接子どもに伝えることなど、子どもを孤立させないために家庭・学校・地域が
一体となって取り組むという方法論を取っています。
※CAPスペシャリストとは、養成講座(基礎編と実践編で40時間以上)を受け、認定書(CAPプログラム実施のための資格)を得ている人で、
実践のために、地域のCAPグループに所属し、さらなる研修や練習を積み重ねています。