「啓発講演会」の開催

「今を生きる子どもたち〜その理解と支援」

講演会01

開催時期:2010年7月24日(土)
開催場所:けやきプラザ・ふれあいホール(千葉県我孫子市)

「今を生きる子どもたち〜その理解と支援」のテーマで講演会を開催しました。

「事件の中に見る子どもの息苦しさ」青木悦さん(教育ジャーナリスト)
「発達障がいをつまづきにしないために」田中康雄さん(児童精神科医/北海道大学大学院教授)

それぞれご専門の立場から、今を生きる子どもたちの生きづらさ、自己肯定感を持てない子どもたちの背景などをお話していただき、対談でテーマを深めました。

参加者:150人


講演会02

参加者の感想・・・
「青木さん、田中さんのやさしい視点、真摯な気持ちを感じながらの、専門性のある話がよかった」「発達障がいについて正しい捉え方を知 ることができた」「がんばりゆーの話に元気をもらった」「おふたりの人柄に感動!私たちに道筋示してくれた」「ふたりの話がみごとにかみあっていくのがと ても面白かった」など、好評でした。また、「質問の時間があったらもっとよかった」「単独の講演も聞いてみたい」「パート2を期待する」など


講演録が冊子になりました。
報告集『今を生きる子どもたち〜その理解と支援〜』
*報告集をご希望の方は こちら


報告集

講演録より一部紹介・・・
・・発達するためには、リアルな大変さが・・
<田中>小さなことかもしれないけれど、たとえば遊園地で子どもが怪我しますよね。そうすると遊具が悪いって言って遊具が取り払われます。そうすると子どもは遊べなくなります。学校は危ない所だと鎖がかかり入れなくなってくる。その危ないところにどうして君たちは毎日行くのかなって僕は言いたくなるぐらいです。バーチャルなtwitterとか、パソコンとか、テレビゲームとか、それが安心できる世界、つながる社会となる。リアリティが逆転する。これは発達のアンバランスさを助長していないだろうか。あるいは、この状況に適応するような進化が起きているのかもしれない。色々な子がいていいのに、どうして一部だけ名前を付けるんだろうと思ったりもします。だからと言って、「みんなちがってみんないい」と安直に言うつもりは全くなくて、逆にみんな違ってみんな苦しいんですよ。その苦しい中で悩みながら、でも何とかなるよなって支え合っていく。発達するためには、リアルな大変さがあります。

・・丁寧に伝え続ける・・
子どもの育ちは、実は見えない所でいろいろなことが作用し変っていくものだと思います。子どもと親との二者関係は実は人類だけにしかないのです。最初の1 年間は生理的早産といって無力な赤ちゃんに、無力じゃないよって丁寧に丁寧に伝え育てていく時期です。なのに、社会は早く何でも一人でできるようにと、ゼロ歳児から急がす。親も急がされる。
一人で悩まないような社会を作っていかなければいけないと思っています。そのきっかけになるのがやはり子どもの声。子どもの声が封印されてしまうと、我々は問題意識を持たなくなり、よかれと思ってやっていく。子どもに違うって言われて初めて間違った善意に気付く。気付いた時に、どれだけ真剣に、そのことにおとなとして責任を持って、襟を正した対応を相手側にできるのか。たとえ、それがゼロ歳であろうが1歳であろうが、たとえ発達障がいが重度であろうが、相手を敬うことが求められる。

・・あせりすぎている社会・・
<青木>田中さんのおっしゃった「発達障がい」という言葉が、私が取材している事件の中でも使われていきました。一番印象に残っているのは、愛知県の17 歳の少年が「人を殺す体験をしてみたかった」と言って、見も知らない人を殺してしまいます。その子がアスペルガーだということが広がって、その頃からそういう事件が起きると全部アスペルガーと言われてしまう。「発達障がい」と「少年事件」をすぐくっ付けてしまう大きな原因に、マスメディアの責任が大きいと思います。自分も書いていく仕事をしていますが、安直にそこは喋らないぞと思うんですが、事件が起きると問い合わせがきます。「○○テレビですが、この事件に関してはどう思いますか」と言われので、「まだ分かりません」と言うと、「それじゃ困るんです」って言うんですね。「困っているのはあなたでしょ、私全然困りません」なんて言うと、「結構です」ってガチャンと切れて大体終わるんです。
田中さんが仰った中で私も本当にそうだなって思うのは、焦り過ぎてる社会、早く解決を、早く原因を、早く「科学的」な判断をしたい社会。そういう焦りをすごく感じるのです。